
箕面市の尾川歯科医院の尾川です。
歯科の診療をしていると、 「一度治療した歯なのに、なんでまた虫歯になるんですか?」 という質問をよくいただきます。
実は、治療済みの歯が再び虫歯になる“二次う蝕(にじうしょく)”は、歯科の世界でも特に注意が必要な問題です。 今回は、できるだけ専門用語を使わずに「なぜ再発するのか」「どうすれば防げるのか」をお伝えします。
治療した歯でも虫歯が再発するのは“構造上の理由”がある
虫歯治療は、悪くなった部分を取り除き、詰め物や被せ物で形を回復します。
ただし、どれだけ精密に作っても “天然の歯とまったく同じ一体物” には戻せません。
ここが再発の大きなポイントです。
材料の性質や経年変化で“境目”ができる
詰め物は、金属・レジン・セラミックなど素材によって
・膨張の仕方
・摩耗のしやすさ
・劣化スピード
がそれぞれ違います。
そのため、何年も経つと歯との間に非常に小さな境目(マイクロギャップ)が生まれることがあります。 このわずかな隙間こそ、細菌が大好きな場所です。
歯自体も“生きている”ので変化する
意外に思われるかもしれませんが、歯も温度や噛む力でわずかに変形します。
詰め物と歯の動き方が一致しないと、これもギャップの原因になります。
境目はプラークが残りやすい
つめものの縁、特に奥歯の噛む面や隣接面(歯と歯の間)は、 歯ブラシが届きにくく、プラークが溜まりやすい部位です。
「治療したのにまた虫歯」というよりも、 “治療した歯だからこそ、より注意が必要な場所ができた”というイメージが近いと思います。
再発した虫歯の怖いところ
再発した虫歯は、外から見てもわからないことが多く、 気づいたときには深くなっていることがあります。
・痛みが出た時点では神経近くまで進行している
・以前よりも削る量が増える
・場合によっては神経治療が必要になる
といったリスクがあります。
治療を重ねると歯の寿命が短くなりやすいので、 「治療した歯ほど丁寧に守っていく」ことがとても大事です。
再発を防ぐために、当院が大切にしていること
箕面市の尾川歯科医院では、二次う蝕を防ぐために、次の点を特に重視しています。
“境目が分かりやすい”丁寧な診療
境目が見えづらいと、虫歯の発見が遅れがちになります。 そのため、
・拡大鏡
・口腔内写真
・歯科用CT(必要な場合)
などを活用し、治療前後の状態を視覚的に確認しやすい形で説明しています。
適合精度の高い材料の提案
すべての患者さんに同じ素材が最適、ということはありません。
しかし、セラミックやジルコニアなどは適合性・耐久性の面で優れており、 “再発しにくさ”という視点でメリットが大きい場合があります。 (もちろん費用面なども含めて、ご希望に応じています。)
治療後のメンテナンスを定期的に行う
二次う蝕の一番の予防は、 「問題が出る前に気づくこと」 です。
詰め物の劣化や歯ぐきの状態は、自分ではほとんど確認できません。 3〜6ヶ月に一度のチェックで、 小さな変化も早い段階で対処できるようにしています。
日常生活でできる再発予防
日々のケアで効果的なのは以下の3つです。
境目を意識したブラッシング
詰め物の“縁”に毛先を当てる意識が大切です。 強くこする必要はなく、小さなストロークで十分です。
デンタルフロスや歯間ブラシの習慣化
隣接面の虫歯は再発の多い場所です。 毎日のフロスで予防効果は大きく変わります。
フッ素の併用
フッ素は歯を強くし、初期虫歯を進行させにくくします。 歯磨き粉だけでも効果がありますし、医院での高濃度塗布も有効です。
まとめ
治療した歯が再び虫歯になると、 「きちんと治療したのに…」 とショックを受ける方も多いです。
しかし、医療の立場からお伝えすると、 再発は珍しいことではなく、決して“患者さんのせい”ではありません。 構造上どうしても起こりうる現象であり、だからこそ予防と早期発見がとても大切です。
尾川歯科医院では、治療後のケアまで含めて、 “できるだけ長く、ご自身の歯を守っていくこと” を大切にしています。 気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。