
こんにちは。箕面市の尾川歯科医院の尾川です。 前回のブログに書かせていただきましたが、 実は、つめもの(修復物)の種類によって“虫歯の再発リスク”が異なります。
今回は、歯科医の視点から「つめもの別の再発しやすさ」を分かりやすくお話しします。
なぜ再発するの?
虫歯の再発(=二次カリエス)の多くは、 つめものと歯の境目にできた“すき間やズレ”に細菌が入り込むことが原因です。
どんなにつめものが良くても、
・材料の特性
・経年的な劣化
・噛み合わせの力
・お口の清掃状態
によって再発のリスクは変わります
つめもの別:再発リスクの違い
保険の金属(銀歯)
■再発リスク:★★★(やや高め)
理由:
・金属と歯はぴったり接着しないため、境目ができやすい
・長期使用で金属が「ゆるむ」「変形する」ことがある
・金属アレルギーの問題や、歯との熱膨張率の違いも僅かなズレを生む
ポイント:
銀歯だから必ず再発するわけではありませんが、 「境目が見えにくい」「経年的劣化しやすい」ため、 定期的なチェックが特に重要です。
コンポジットレジン(白い樹脂)
理由:
・歯に接着しているため初期の密着性は良い
・ただし、数年単位で吸水・摩耗し、境目が粗くなりやすい
・大きな穴を修復した場合は特に劣化しやすい
ポイント:
小さな虫歯にはとても良い材料ですが、 広範囲の虫歯では経年による変色・摩耗で隙間が生まれやすい傾向があります。
セラミック(保険外)
■再発リスク:★(低い)
理由:
・歯との適合性が非常に高く、境目が目立ちにくい
・硬さ・なめらかさが歯垢の付着を防ぐ
・金属のような熱膨張の差が少ないため、長期的にも安定
・変色・劣化がほぼない
ポイント:正確に作るほど効果が発揮されるため、 型取りの精度、噛み合わせ調整、接着の工程がとても重要。 しっかり作れば長期間にわたり再発を防ぎやすい材料です。
ゴールド(保険外)
■再発リスク:★(低い)
理由:
・金属の中で最も歯とのなじみが良い
・適度な柔らかさがあり、噛み合わせの力を吸収してくれる
・長期間使用してもほとんど変形しない安定性
ポイント:見た目が気にならない部位では、 虫歯の再発予防としてはトップクラスの材料と言えます。
再発リスクは「材料」だけで決まらない
つめものの種類以外にも、以下の要素が再発との密接な関係があります。
・歯科医の形成(削り方)・技術
・接着操作の丁寧さ
・患者様の清掃習慣
・唾液の性質や食生活
・噛み合わせの力
つまり、 材料 ×(技術・生活習慣・口腔環境)=長持ち度 というイメージです。
尾川歯科医院としての考え
当院では、つめものを選ぶ際に 「再発しにくさ」を最優先に説明しています。
患者様に合わせて、見た目、耐久性、噛む力、費用を総合的に考え、長期的にメリットの大きい治療をご提案させていただきます。
まとめ
・つめものの種類により再発リスクは変わる
・セラミック・ゴールドは再発しにくい傾向
・銀歯やレジンでも定期メンテナンスで長持ち可能
・最も大切なのは「材料 × 技術 × 生活習慣」
治療が終わってからが本当のスタートです。 一緒に再発しない環境づくりをしていきましょう。